イエウール
「不動産投資はやめとけ」と言われる理由は？リスクを解説
将来に備えて資産運用を考えるとき、不動産投資は選択肢の一つとして必ず入ってくるでしょう。しかし、資産運用に詳しい人は「不動産投資はやめとけ」ともいいます。それはなぜかというと、大きな損失をこうむる可能性があるからです。不動産を人に貸したり売ったりすることで利益を得るというのは、とても簡単な方法にみえるかもしれませんが、実際はそうではありません。そもそも投資というのは、労働とは違います。労働であれば働いた時間や労働内容に応じて、確実に報酬がもらえます。しかし、投資は利益がでることもあれば、損失がでることもあるものです。努力が必ずしも報われるとは限りません。
そうなってしまう理由は、不動産投資で利益を得るやり方には少なからずリスクも存在しているからです。そこで賃貸経営で家賃収入を得るときに、想定できるリスクを挙げていきましょう。最も想定されるのが空室リスクです。つまり、借り手が見つからないので、家賃が入らない状態です。その間も、税金や壊れた箇所の補修・修繕などで支払うべきものが多くありますから、空室の期間が長くなるほど損失が大きくなります。
なぜ空室になるのかは、さまざまな要因が考えられます。物件の立地が悪くて入居希望者が入らなかったり、建物が古くて敬遠されたり、借りる人よりも賃貸物件が多すぎる供給過剰もあります。それらの問題を解決しなければ、入居者を獲得できません。もし、空室が解消されないときには、家賃を下げたり売却をして損失を最小にします。
それから、問題のある人を入居させてしまうリスクがあります。問題の具体例を挙げていくと、騒音や異臭など近隣住民に対して迷惑をかけたり、家賃滞納といった事態が想定されます。近隣住民への迷惑は迷惑をかけたときには被害者に謝罪をしたり、契約解除をして退去させる手続きが必要です。そして家賃滞納は家賃収入が入らないし、こちらも強制的に滞納分の支払いと契約解除後の退去を求めるための準備を進める必要があります。他にも入居者が反社会的勢力に属していることになれば、退去してもらうにしてもオーナーやその家族に何らかの被害が及ぶ可能性もでてきます。こういった問題ある人を入居させないように、事前の審査は行いますが完璧にトラブルを防げるわけではありません。
物理的な被害をこうむるトラブルでいえば、災害や事件に巻き込まれることもありえます。日本は地震大国ですから大地震が起きたときには、揺れやそれに伴う津波・火事で建物が消失すればもう賃貸経営はできません。それに夏場の台風シーズンでは、強風や河川の氾濫それに土砂崩れなどで、物件に深刻な被害が及ぶこともあります。その被害の程度によっては、やはり賃貸経営を諦めざるを得なくなります。さらに地震や台風がない日常生活でも火事が起きたり、居眠り運転をしている車が突っ込んでくるといった事件が起きることがあります。もちろん、災害や事故については、保険に入っていればある程度の損失をカバーできますが、補償の内容を手厚くすれば保険料の支払い負担が重くなりますし、保険料を削ればいざというときの補償が薄くなります。
最後にお金がない人が不動産投資を始めるときには、自己資金ではなくローンを組むことになりますが、そのローンがリスクになりえます。たとえ低金利のときに固定金利でローンの契約をしたとしても、将来的に変動金利に切り替わったときに金利が大幅に上昇していれば返済額が増えます。そうなると、増えた返済額に対応できずに、ローンを滞納してしまい最終的に物件を手放すことになる可能性があります。またローンを組んで始めた賃貸経営が儲からないからと断念するとき、最後は物件を売却してローンの残債を支払います。でも売却額がローンの残債よりも低ければ、オーバーローンとなり、物件の売却ができません。そうなると、売却をするために足りない分を補填する必要があります。
ここまでは賃貸経営についてみてきましたが、売却をするときに想定されるリスクもあります。それは物件を入手後に地価の下落が起きて、売却価格が下がる事態です。安く売って高く売らなければ、売却益は得られませんから、それができないと意味がありません。地価が下がる要因は、世界や日本の景気が悪化することや人口の減少などです。景気はいずれ好転するかもしれないので、物件を保有し続ければ地価が上昇するチャンスはあります。でも人口の減少のように、将来的にも解決が難しい問題であれば、これ以上損失が広がらないように売却益が出なくても売ることも一つの方法です。
ここで挙げてきたことは、投資家の判断で回避できるものもあれば、回避できない不測の事態もありますが、どちらにしても起きてしまえば大きな損失がでます。お金に余裕があれば損失がでたとしてカバーできるでしょうが、お金がない人は多額の借金を抱えて苦しい人生を歩む羽目になります。お金がない人がローンを組んで不動産投資をやることも増えていますが、万が一のことを考えたらやめておくべきです。
