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居住用の不動産譲渡所得の特別控除

居住用の不動産譲渡所得の特別控除

 

自分で住むようの不動産を買ったときにかかる税金にはいろいろな優遇策が用意されています。それは売却時にも用意されています。ここでは自宅を売却したときに受けられる軽減措置について解説していきます。

 

今住んでいる家を売るとなると、新しく新築する、急な出費に対応するなど何かしら大きな出費があると考えられます。そんな状態でいつもどおり課税したら日本国民としてまともな生活ができなくなるかもしれません。憲法にも「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(だったはず)」という一文があるわけなので、お国もそこは考慮しいろんな軽減措置を用意してくれています。

 

自宅を譲渡した時に適用される特別控除

  • 譲渡所得から3000万円控除
  • 軽減税率
  • 居住用不動産の買換特例

 

以下、順に解説していきます。

 

居住用不動産譲渡による譲渡所得から3000万円控除

自分が住んでいる住居とその土地を譲渡するときは、”譲渡所得から”3000万円差し引くことができます。もし3000万円で売却できたなら所得ゼロになって課税されません。ちなみにこれは、もし夫婦で半分ずつ所有していたなら二人分(3000万円×2=6000万円)譲渡所得から差し引けます。仮に豪邸を建てるとして、将来的に夫婦仲良くいられる自信があるなら最初から所有権を半々にしておくと売却時お得になります。ちょっとでもしこりがありそうならトラブルの元なので、どちらか一方の所有にしておいたほうがいいかもしれません(汗)。この特別控除は確定申告することで使えるので、所得ゼロだとしても申告しなければなりません。また譲渡先は自分が社長の会社や親族だと適用されないので注意が必要です。

 

3000万円特別控除が適用される条件
  • 自分が居住する家か土地の譲渡
  • 譲渡した年の前年と前々年にこの特別控除か買換特例を適用されていない
  • 自分の会社や親族への譲渡でない

 

居住用不動産に対する軽減税率

所有期間が10年と1日以上で「一定の要件」をクリアしていると普通より低い税率で税額計算できます。所有期間5年超だと税率20%(所得税15%+住民税5%)ですが。10年超だと譲渡所得6000万円までの部分は14%(所得税10%+住民税4%)に軽減されます。これは上で紹介した3000万円特別控除と併用できます。

 

夫が所有する自宅を1億円で売却できた場合(経費は除く)

譲渡所得1億−特別控除3000万=7000万円
7000万のうち6000万円は14%の税率で計算 6000万×14%=840万
残り1000万円は20%の税率で計算 1000万×20%=200万
譲渡所得税=840万+200万=1040万円

 

軽減税率が適用される条件
  • 自分が住んでいる家や土地の売却
  • 売却した年の前年と前々年にこの特別控除か買換特例を適用されていない
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間10年と1日以上経過している
  • 過去に買換特例を受けていない
  • 自分の会社や親族への譲渡でない

 

居住用不動産の買換特例

自宅を売りまた自宅を買った場合、以下の要件を満たしていると「一定の金額」までなら”なかったもの”にしてくれます。

 

自宅を3000万で売却し5000万で新しい家を買った場合

売って入ってきた5000万すべてを購入費用に充てているので残りはゼロ。ここで買換特例を使うと譲渡所得は”なかったもの”になります。

 

自宅を5000万で売却し新しい家を3000万で買った場合

新しい家を買っても1000万余ります。よって買換に充てられた4000万は”なかったもの”になり、1000万にだけ課税されます。

 

”なかったもの”とは?

決して譲渡所得がゼロになったわけではありません。もし初めての買換でこの特例を適用し、将来またその家を売却し新しい家を買うときこの特例が使えません。そればかりか”なかったもの”となっていた譲渡所得が税金計算時に加算されます。あくまで”初回だけは見逃しますよ”ってことですね。逆に何度も買い替えられるような裕福な人からは税金むしり取りますよってことですね(汗)。ただ、3000万円の特別控除にしておけばまた買換えるとき控除分は加算されません。自分の将来設計も見越して選択する必要がありそうです。

 

買換特例が適用される条件
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間10年と1日以上経過している
  • 譲渡対価が1億円以下
  • 新しく購入した居住用物件の床面積が50u以上
  • 自分の会社や親族への譲渡でない
  • 平成27年12月31日までに売却

 

買換特例が適用されない条件
  • 3000万円の特別控除を受けている
  • 軽減税率の特例を受けている
  • 居住用不動産の譲渡所得のマイナスを繰越している(損益通算・繰越控除)
  • 特定の居住用不動産の譲渡所得のマイナスを繰越している

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