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無許可で民泊を営業しているとどうなる?その違法性について
今の民泊は数少ない特区民泊を除きますと旅館業法の簡易宿所に分類されます。
よってこの法律の定めによって旅館業としての許可が必要になりますので、無許可の場合には法律違反となります。
旅館業とみなされる民泊とは
旅館業と認められる条件は4つあります。
- 料金を徴収している
- 社会性がある
- 反復継続性がある
- 生活拠点ではない
1つ目は、まず料金をとって宿泊させていることです。
2つ目は社会性があるというものですが、これは抽象的な表現でわかりにくいので実際に摘発されて例をあげてみます。民泊を営業する時には民泊仲介サイトを利用するのが一般的ですが、このようなサイトに登録して民泊営業しますと社会性があるとされるといいます。
3つ目は反復継続性があるという事です。
これには宿泊回数等の基準が示されていませんので、どの位宿泊させると該当するのかははっきりしません。
4つ目は生活の本拠ではないというもので概ね宿泊期間が1ヶ月以下ですと、この条件があてはまるようです。
これら4つの条件を満たしている無許可民泊は違法とされます。
違法民泊の罰則と実例
旅館業法の無許可営業に対する罰則は、6ヶ月以下の懲役または3万円以下の罰金というものです。
実際に無許可営業の民泊が摘発される例は、ここ1、2年、件数は少ないものの報道されるようになっています。例えば東京都内で住宅を使った民泊をしていた外国人が逮捕されたことがあります。京都や大阪でも旅行代理や管理会社の関係者、あるいは経営者が送検された例があります。
ただ、違法民泊として摘発される例は極めて少ないのが実情です。何故なら民泊の実態が不透明で摘発しようにもできないということです。
このため観光地の京都では違法民泊通報窓口を開設して、違法民泊の締め出しに動いています。
なお、2016年春の時点では、東京都内の集合住宅の1室を使った民泊として旅館業の許可を得ているところはないそうです。民泊を旅館業の許可を得て行なうのは多大な労力とコストがかかります。
そのため民泊新法という、届けるだけで民泊営業ができる法律が制定されようとしていますが、もう少し時間がかかるようです。
民泊ではどれくらいの期間まで客を宿泊させることができる?
宿泊日数の上限と下限は民泊の種類、すなわち旅館業法によるものか?
これからできるであろう民泊新法によるものか?
国家戦略特区の条例によるかによって違ってきます。
この内旅館業法の簡易宿所としての民泊では特に宿泊日数の上限も下限もありません。
民泊新法と旅館業法による民泊
これから制定されるとみられる民泊新法では、宿泊日数の下限はありませんので1泊から宿泊してもらえます。ただし、民泊新法の概要をみますと年間の営業日数が年間最大180日までとなっているようです。ですから、一般にこの日数を超えて宿泊させることはできないでしょう。
旅館業法では宿泊日数の条件はありませんが、長期に滞在してそこを生活基盤とするような宿泊は認められていません。このため民泊施設に長期滞在して、そこが活動拠点になったりしますと法律に抵触する恐れがあります。
国家戦略特区の条例による民泊
国家戦略特区による民泊は特別に定められた地域だけに認められているものです。基本的にその地域の自治体が定める条例によって民泊の営業許可が出るのです。ですが、最大の宿泊日数についての定めはないものの最低宿泊日数に条件が付いています。
いままででは最低6泊しなければならなかったのですが、この規制に関する政令が改正され最低2泊になるそうです。
改正された政令を実行できるようにするには条例の改正が必要になります。今のところ条例改正手続き中のため、この実施時期はその地域によってことなるようですが2017年以降になるもようです。
なお最低6泊という規制が改正される経緯は、1ヶ所の民泊に6泊以上する外国人観光客が著しく少なかったようです。そのため国家戦略特区の民泊の制度を活用する人がほとんどいなかったためだとされています。
民泊の宿泊期間は、国家戦略特区のように最低宿泊日数を定めるなど泊り客にとっては不便な規制があります。逆にこれからの民泊新法のように営業日数の上限を定めるなど本来の旅館業への配慮が感じられます。
制限されている民泊の年間営業日数・そのポイントについて
合法的な有料の民泊には3種類のやり方があります。
年間営業日数が制限されるのは近々制定されるらしい民泊新法による民泊です。
民泊新法では民泊の営業は届出するだけで良いのですが、最大営業日数は年間180日以下になる模様です。
民泊の種類と営業日数
民泊の営業方法には旅館業法によるものと、これから制定される可能性のある民泊新法によるものがあります。
もう1つは国家戦略特区の条例によるものもありますが、こちらは特別な地域に適用されるものです。
旅館業法と国家戦略特区の条例による民泊には営業日数の制限はありません。
一方で民泊新法に関しては、最大営業日数を年間180日以下にするとの規制改革会議答申が2016年の中頃に出されています。このため民泊新法では最大営業日数を年間90日から180日の間に決められるようです。
なお、旅館やホテル業界は、年間30日程度に制限して欲しいと要望をしています。しかし、日本で主流の家主不在型住宅を使った民泊では、年間180日の営業でも採算がとれないといわれています。
海外と日本の民泊の違い
海外の民泊にも最大営業日数の制限があるところもあります。例えば、イギリスの年間90日以内やオランダの一部地域の60日以内などです。ただし、諸外国の民泊の形態はホームスティ型が多いため、このように営業日数を制限されてもあまり問題はないとされています。
一方で日本の民泊は7割程度が家主不在型住宅を使うものですから営業日数制限は死活問題になります。このため新しく制定される民泊新法は利用できない人も多いといわれています。
それならば営業日数の制限のない旅館業法の許可を受けて民泊を営業すれば良いのです。こちらにも地域や建物の構造に対する制限が地方自治体ごとにありますので中々大変です。
日本の民泊は、より一層の規制緩和があれば発展する可能性もあります。しかし、民泊新法ではまだまだ制限が多すぎて実際的ではないという意見も聞かれます。
一部の地域で施行されている「民泊特区」とは?
国家戦略特区法という法律がありますが、その中の13条で定められているのが外国人滞在施設経営事業特定認定という民泊許可です。
そして、この法律よって民泊ができる地域のことを民泊特区といいます。
国家戦略特区法の民泊許可部分
この法律の民泊に関する部分で言っていることは、はじめに国が国家戦略特区を指定します。そして指定された地域あるいは区域が民泊に関する区域計画を立てて、それが内閣総理大臣に認められる。そうしますと一般には旅館業法による許可が必要な民泊という事です。
この認められた民泊特区内ではそこの地方自治体の長の認定だけで、旅館業法による許可を得なくても民泊、より詳しくは外国人滞在施設経営事業を行えるというものです。
この民泊特区の面白いところは、宿泊の料金支払いが賃貸借契約による家賃支払いになっているところと、一般には許可という言葉が使われています。ですがこの法律内では認定という言葉に置き換えられているところです。
民泊特区の状況
現在、民泊特区に指定されているのは東京都大田区と大阪府の2箇所です。ここでは民泊条例が制定され、それによる民泊の認定が行われています。
2016年夏時点での認定施設数は、東京都大田区が20施設あまりなのに対し大阪府で3施設という少なさです。これは民泊特区による民泊の人気の無さを如実に表しています。大きな理由は宿泊期間を6泊以上と制限されているところです。
この民泊特区の不人気を解消するために、国家戦略特区諮問会議は2016年の秋になって2泊以上と制限を少し緩和することにして政令も改定されました。条例の改正はもう少しかかるようですが、この改正でどの程度施設数が増えるのかは興味のあるところでしょう。
今のところ民泊特区はとても成功したとは言えないでしょう。何故宿泊制限を撤廃しないで2泊以上などいう改正で済ませたのか疑問です。これから民泊を開業するのでしたら制定されつつある民泊新法の施行を待つのも一法でしょう。